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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※この話は本編のED№3「嗜虐の果て」にを迎えた後、どうにか立ち直った
御堂と眼鏡が…結ばれた後、という設定の上に執筆した眼鏡誕生日ものです。
ミドたんが佐伯の嫁状態になっています。(当サイトの作品『白銀の輪舞』の後です)
それを了承の上でお読みくださいv

 眼鏡との間の確執が取れてから二週間後。
 心から結ばれてから、初めての相手の誕生日が訪れようとしていた。
 ここ暫くはまだ身体のリハビリも兼ねて、日中は働いている相手の代わりに夕食は
御堂の方が担当していた。
 だが…本日は一際力を入れて、料理を作る事に当たっていた。

「…フフフフ、これを食べたらあいつもきっと驚くに違いない…」

 異様な気合を込めながら、グツグツと煮立つ鍋の中身を丁寧に掻き回していく。
 大きな鉄製の鍋の中に入っている物は…数日前から仕込んで、丹念に
煮込み上げていたビーフシチューだった。
 まだ時間の融通が利いた学生時代ならともかく、社会人になってエリートコース
になってからは忙しくて料理を作る暇などなかったので…実際に作って見たのは
十数年ぶりになっていたが…渾身の料理の出来栄えに御堂は酷く満足げだった。

 塊のままの牛肉のブロックを数日掛けて野菜と一緒にトロ火で煮込み続けた。
 肉が蕩けるように柔らかくなってから、ホールトマトとローリエ等の香辛料の類を
一緒に投入し、仕上げに高級なワインと市販の高級なビーフシチューの元を使った
それは…芳醇な匂いを称えて、こうしているだけでも食欲を掻き立てる程だった。
 一口味見をしてみると、その完成度の高さに自分でも満足げの笑みを浮かべた。

 元々御堂は完璧主義者である。
 やるからには徹底的にやらないと気が済まない性分だ。
 本日は相手の誕生日に当たる訳だし、どうせなら盛大に祝ってやりたい。
 上質なライトグレイのシャツに、すっきりとしたラインのスーツズボン。
 それにカーキーのエプロンを身に纏いながら…時計の針を確認して
ポタージュスープとサラダ、カリっと焼いたフランスパンの用意をしていく。

「…そろそろ佐伯が帰ってくる頃だな…」

 本日の克哉は、来年から始動するプロジェクトの前準備の為に
出勤している。
 今年中にやるべき事は二日前には全て終えた、と言っていたが…取引先
よりも先んずる為や二重の確認の為に昨日も今日も、MGNに赴いていた。
 今日が終われば、年明けから七日くらいまでの一週間は休んでも何の
問題ない…と言っていたのだが。

「…本当にあの男は。今日は自分の誕生日だっていうのに…わざわざ
働きに出るなんて…一体何を考えているんだ…」

 こちらは十日ほど前にこいつの誕生日が、今日だと知った時から…その日は
盛大に祝うつもりで準備をしてきたのに…直前になって31日まで働くと聞かされた
時には、呆気に取られた。
 しかし御堂もかつてはエリートコースを邁進していた仕事人間だ。
 相手が仕事をすると言っているのに、自分との時間を優先しろだなんて…口が
裂けたってそんなみっともない事は言えない性分だった。

「…早く、帰って来い…。せっかく…用意、したんだぞ…」

 午後七時、定時に終わった場合は…眼鏡が必ず帰って来る時間が近くなって
ガラにもなく心臓がドキドキしていた。
 作っている時は夢中で気にしなかったが…自分の方から手料理を振舞って
相手の誕生日を祝ってやるなんて行為は生まれて初めての経験だ。
 そんな事を自分がやる日が来るなんて以前はまったく想像していなかったし…
その相手が克哉である事も…信じられなかった。

 用意した全ての料理が頃合に仕上がり、皿の上に盛り付けて…食卓の上に
二人分の用意を並べていく。
 そして…本日、ガーヴから取り出して丁度頃合に冷えているシャンパンの用意を
していく。
 シャンパン・フリュートと呼ばれる全体的に細めで背が高い、スラリとした
シルエットのグラスを二個用意していく。
 全ての準備が整い、時間を眺めていく。
 午後七時まで後…1分を切ろうとしていた。
 その時間になってまで、まだ帰って来る気配がない事に御堂は…少し不安を
覚えていく。

(もしかして…今日は遅れる、のか…?)

 昨日も一昨日も、佐伯は七時までには確実に帰って来ていた。
 それなのに…肝心の今日に限って、その気配はない。
 せっかく一番美味しい状態で食べて貰おうと頑張っていただけに…普段なら
何でもない事でも、少し相手が遅れるのだろうかと考えるだけで落胆してしまう。

「…あいつに、限って珍しいな…」

 ボソリ、と呟いた瞬間…ガチャと扉が開く音が聞こえた。
 顔を上げると、時計の針は丁度ジャスト7時。
 それと同時に…上質の黒いスーツとカシミアのコートを身に纏った眼鏡の
男が室内に入っていく。

「ただいま、御堂…。今夜も美味そうな料理を用意してくれているな…。
この匂いはビーフシチューか…?」

 コートを脱いで、リビングのハンガーにつるしていきながら…自分をこれだけ
やきもきさせた男は何でもない事のように、不敵な笑みを浮かべている。

「あぁ…そうだ。数日前から仕込んで用意してあったのを…今日完成させた。
多分、君が食べたら驚くレベルでの最上の仕上がりだ…。楽しみに
していると良い…」

 御堂もまた、先程までの不安を全て隠して…いつも通りの、強気な態度で
彼と会話を交わしていく。

「君は先に席に座っていてくれ。…今日は君が主役だ。私の方で全ての
準備をして…祝わせて貰いたい。良いな…佐伯?」

 そうして、相手を歓待する為の準備を御堂は始めていく。
 その間、彼の胸は…いつになく高揚し、早鐘を刻み続けていた―

 
 
 
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はじめまして
今日初めてこちらに寄らせていただきましたが、こんなに胸キュンなメガミドを拝めるなんて思ってもみませんでした。私も「ずっとそこにいたのか」の介護END大好きなんですよ~。「夜の~」と「白銀の~」を、一気に読ませていただきました。あのEND後の二人のすれ違う様にもう~じれったくて切なくて、でもやっとこ心が通じ合った幸せで、只今感動の坩堝にいます!!メガ誕企画「白銀の絆」の方も続き楽しみにしています。あと要らぬおせっかいなのですが御堂さんの名前「孝典」が「考典」になっているのでチェック入れていただけると…すみません、どうぞよろしくお願い致します。
レティーナ 2008/01/01(Tue)22:22:36 編集
指摘どうもでした(ペコリ)
 こんにちは、レティーナさん。感想の方を残して下さってありがとうございました。
 私もメガミドは…介護ENDが大好きなんですよ。そこら辺の萌えから白銀シリーズは生まれていたりしますv
 本当に白銀~の二人はじれったい感じですよね。けれど自分でもお気に入りの話なので感想頂けると凄い嬉しいです。ありがとうございました。
 で…ご指摘の名前の間違いの件、作品倉庫に置いてある分までは現在の時点で修正致しました。 
 今後アップする予定の作品や連載中の作品に関しては辞書登録自体を直しましたので大丈夫だと思います。
 勇気を出して指摘どうもでした。白銀の絆の方も頑張りますね。ではでは~☆
香坂 幸緒 2008/01/04(Fri)00:20:50 編集
修正おつかれさまでした
すみませんっ!私が余計なことを言ったばっかりにとてつもない時間と手間をお掛けしてしまいました。
辞書登録…じゃないかなと、思ってました。私もその機能便利でよく使うのですが、最初に登録する時間違ってしまうと、ずっとそのままなんですよね。
あぁ、でもやはり人の名前って特別なものが込められてますから早速修正していただけてほっとしました。
どうもありがとうございました。

白銀の絆もついに完結しましたね!!
眼鏡の誕生日に自分から誘うはプロポーズするわで、もう~こんな積極的な御堂さんたまらなくエロいしカッコイイです~♪
思わず惚れ直しましたよ!!
罪悪感から御堂さんを抱くことに竦んでしまう眼鏡を「いいかげんにしたまえ!」と叱咤するあたりも激しくツボ。
それから御堂さんに全ての罪を許された眼鏡が涙を流すシーン、そしてその眼鏡を優しいまなざしで背中をさする御堂さんがまるで宗教画のように見えます。
このお話がDVDで見られたらすっごい幸せ。
それにしても眼鏡の意識が疲労で落ちるって…いったいこの二人どんだけ盛ったんだか(笑)
着物姿で姫はじめの方も、新年早々のラブラブっぷり、ご馳走様でした。
とっても幸せなお正月でふんわりほこほこ…いや、「ファイアー!!」と叫びたいほどにこちらも暖まらせていただきました。
過去があんなに傷つけあった二人だけに、幸せであることがこんなにも嬉しいです。

風邪の方は良くなりましたか?
これからが冬本番なので御身大切に。
レティーナ 2008/01/05(Sat)23:31:10 編集
いえいえ~
 とりあえず修正の方、無事に完了しました。…というか今の時点で指摘して下さって逆にこちらは助かりましたし。
 これがもう少し遅れていたら、修正する手間はもっと膨大な事になっていたでしょうしね(^^)

 白銀~のどうにか完結しました。企画小説に出展するのに、以前に自分で書いた話の続編出すのは…と少し迷ったんですが、意外に皆さんに好評でしたのでほっとしています。
 …この話の御堂さん、男前ですよね。
 白銀~シリーズだと眼鏡は御堂さんに対して罪悪感バリバリなので、もう御堂さんの方から眼鏡を離すもんか! みたいな状態になってました(私の頭の中で…)
 許しのシーンは、この二人がこれからの人生を歩んでいく為には必須だろうな…と思ったので織り交ぜたんですが、ここは私も書いてて少しホロリ…となりました。
 私もこのシーン動画で見てみたい…というか絵で凄い見てみたいですね!
 …まあ眼鏡、×発…はやりましたから。そこら辺は想像にお任せします(笑)

 …姫初めは、絵チャットに参加した方々の美麗絵を拝見出来た勢いで仕上げました。
 この二人、本当にラブラブですよね。書いてて私も当てられましたよこんちくしょう!みたいな感じです(笑)
 …実はもう一個、某所で勢いでSS仕上げてしまいました。そちらも13日に大阪行く際の置き土産にこっちにアップするので良かったら見てやって下さい。

 身体の方は回復しましたよ~。
 言葉掛け、どうもありがとうございます。
 それではまた気軽に来てやって下さい。ではでは~☆
 
香坂 幸緒 2008/01/08(Tue)00:19:51 編集
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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